分かれ道「東宮と見習い宮女」:「赤い袖先」上巻・第一部

原作小説

ドギムが宮中である種の有名人である理由3つ

・厳粛であるべき宮中で自由奔放な不良である

・東宮殿の宮女なのに中宮殿*に出入りする

・宮中でも折り紙つきの達筆である

*ここでの中宮は、貞純(チョンスン)王后・金(キム)氏のこと

ドギムは宮女たちが貼り出す文言を書いたり、手紙の代筆をすることで小遣い稼ぎをしている。また自身でも手に入れた本を読みながら「自分だったらどう書くか?」と考えたり、注釈を入れてりしていた。

その様子を見たサンの母・恵嬪(ヘビン)が、字を書き写す宮女を探している貞純王后へドギムを推薦する。貞純王后は「訓閨禮(フンギュレ)」の準備に本が必要で、筆写できる人物を探していた。

また恵嬪はソ尚宮を通じて、世孫サンの湯薬の世話にドギムを指名。熱もあり、不機嫌なサンもドギムに対して胸の内を一言、二言もらしてしまう。彼女をなぜか気にかけていたというサンの話に、ドギムもまたサンの姿を見かけると目で追うようになる。

恵嬪と世孫サンの会話で、世孫嬪=のちの孝懿(ヒョイ)王后との正式な床入り=合宮(ハプグン)の話が出る。

サン『まだ時期尚早です』

恵嬪『どうして?嬪宮の容貌が気に入らないのか』

*ここで、世孫嬪の顔に痘痕(あばた)があることが描かれている

サン『私にはまだ確信が持てません』

サン『彼女は私に合う人なのか』

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

その後、世孫嬪と庭にいるサンを見かけたドギム。自分には届かない世界と知り、子どもの頃の夢…自分だけを愛してくれる夫に出会い、家庭を持つ…を思い出す。

*宮女の道を選んだ時から、名目上夫は国王となるため、家庭を持つことは叶わない

恵嬪に呼ばれたドギム。これからは東宮殿に仕えることに専念するよう申付かる。

「赤い袖先」上
「赤い袖先」上

『お前は私ではなく世孫に必要な人だという気がするのだ』

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

そして宮中でのある噂をドギムに語る。

「赤い袖先」上
「赤い袖先」上

『あの子が最近めっきり女色に興味を持ったというのだ』

『ある宮女をいつも見ているとか、その宮女について何度も訊ねるとか…』

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

*恵嬪の夫であり、サンの実父・思悼(サド)世子が死にいたった要因の一つが、宮女との出来事だったため、同じことが起きるのを防ぎたい母の気持ち

*読者には、サンが興味を抱いているのがドギムだと想像できる

その夜、偶然、満月の月明かりのもとサンに出会ったドギム。いつもと違う様子に声をかけると、英祖(ヨンジョ)の薬でもある”お酒=松節酒”を口にしたというサン。

呂律が回らないなかで「心を打ち明けられる女人」「亡くなった私の祖母」と言いかけるサン。

『もしかしたらお前なら…』

『私がお前の服のひもを解いたら、どう思う?』

『今夜、私がお前に承恩(スンウン)を下せば…』

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

初めての承恩の言葉は、ドギムにきっぱり断られる。

拒絶の理由を尋ねられた彼女は「嬪宮様がまだ世継ぎをお産みになってもいないのに…」と答える。

*史実でも、最初の承恩=求愛を断った理由に「世孫嬪=のちの孝懿王后に世継ぎが生まれていないこと」を挙げたと伝えられています

「赤い袖先」上
「赤い袖先」上

ドギム『世孫様は今、分かれ道にたどり着いたのです』

「赤い袖先」上 カン・ミガン

それは「お酒を飲み、宮女に承恩を与え、楽に暮らせる道」か「苦しくても辛くても自分で選び歩む道」だと話すドギムの言葉に、サンも自分の道を選ぶことを決意する。

王への道を歩み出す世孫サン。宮女の道を歩み出すドギム。大人へと近づく二人の道もここで分かれ道となる。

ここから〇〇年後にサンの思いが届くとは。二人にとって決して短いとはいえない月日をどのような思いで過ごしたのでしょうね。

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ポスター・画像出典元:MBC番組公式サイト

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