お前のことを考えている「東宮と見習い宮女」:「赤い袖先」上巻・第一部

原作小説

代理聴政と笄礼の準備

この頃、英祖(ヨンジョ)は80代。老いを感じ、体力、気力とも政に全力で臨めないようになり、世孫サンに「代理聴政(テリチョンジョン)」を任せると王命を下す。多くの重臣たちは、これにこぞって反対。なかでもホン・ジョンヨ(イナン)は、あからさまにサンの政治への関わりを阻もうとした。

このような状況で、サンの不機嫌は続く。そのためウォレをはじめとする先輩宮女たちが、ドギムに東宮=サンの世話をするように依頼するように。

サンの性格描写①

意外と細かい

自分でもまめに動く

気まぐれ

ドギムは、別の意味でサンから距離を置きたかった。それは宮女を遠ざける彼が、何かとドギムに話しかけてくるから。しかも笄礼(ケレ)は月末に迫っており、気が気ではない。

笄礼(ケレ):見習い女官=생각시/センガクシから卒業して、一人前の女官=内人(ナイン)となる儀式

名目上、王と結婚する宮女。笄礼では、宮女の実家が準備して婚礼のようなお膳を差し入れるのが習わし。裕福なギョンヒ、その親族のヨンヒ、そしてボギョンは準備が進んでいるが、ドギムには便りすらなく…

ここでサンの噂話になる。世孫は兼司書(キョムサソ)と付き合っている(男色ではないか)

理由1:女性のように色が白く、美しいホン・ドンノ(グギョン)と背が高く、男らしい外見のサンがお似合い

理由2:世孫嬪=のちの孝懿(ヒョイ)王后と結婚して13年。未だ子宝に恵まれない

理由3:サンは世孫嬪に礼を尽くしているものの、ふたりの間は親しさに欠ける(ふたりに共通点がないため、会話も続かない)

サンの性格描写②

厳しい(一貫しており、わがままではない)

いい加減にはできない

姑のように口うるさい

融通がきかない

そして気弱

サンの食生活

少食

不規則

ドギム
ドギム

好きな食べ物はなんですか?ずっと見守ってきたのですが、わからなくて

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

笄礼膳を準備するため、サンに好みを尋ねるドギム。東宮に所属する至光(チミル)のなかで、笄礼をするのはドギムだけ。サンは彼女に「笄礼の試験」を与える。

サン
サン

私と女人と君子を同時に教える文を持ってきなさい

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

サン
サン

私が一番好きな膳は酒だ

ちなみに松節茶は駄目だ

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

松節茶は、以前サンがむしゃくしゃして口にした薬効のあるお酒。この時、ドギムに承恩を与える…と口走った。

禁書「資治通鑑綱目(しじつがんこうもく)」とホン・ドンノ(グギョン)

サンに書庫の整理を命じられたドギム。ホン・ドンノ(グギョン)から話しかけられる。自分が宮女たちに人気があることも、見目麗しいことも自覚するドンノから距離を置こうとする。

そんな二人のところに、ある内官が「英祖から世孫の『綱目』を持ってくるように命じられた」とやって来る。英祖が『綱目=資治通鑑綱目』にある「爾母婢也=あなたの母は召使である」という箇所を嫌い、事実上の禁書になっていることを知るドンノ。

ドギムの手にあった『綱目』から該当頁を破り、内官に渡す。

ドラマでは、幼いドギムが禁書『史書』の該当頁を破り、ドンノ(グギョン)が自分が破ったとサンに話す設定

その後、書庫にやって来たサン。ホン・ドンノ(グギョン)が問題の部分を破っていたことで、英祖が機嫌よくなり、代理聴政も進めると話したことをドンノへ興奮気味に語る。

ペ・ギョンヒの活躍

相変わらず宮女たちの間では人気がなく、課題も一人で取り組むギョンヒ。世孫嬪から一等に選ばれ、褒美をいただいたことを嬉しそうに話す。さらに、世孫サンと世孫嬪ふたりの服を作る栄誉を与えられる。

この日は、提調(チェジョ)尚宮の船遊びに誘われており、ギョンヒは実家から送られた新しいチョゴリを手に終始ご機嫌な様子。

ギョンヒ
ギョンヒ

まともに手に入らないなら、いっそのこと何も持たない方が幸せよね

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

のちにドギムは、この日のギョンヒの言葉を思い起こすことになる。

代理聴政

吏曹参判(イジョチャムパン)ソ・ゲジュン=ソ・ミョンソンの上訴、貞純(チョンスン)王后の強い援護により、反対派を抑えてサンの代理聴政が認められる。

夜になり、サンの着替えを手伝うドギム。大柄なサンに背伸びをする。お互いの素肌がチラリと見え、内心ドギマギするサンとドギム。

翌日は、ギョンヒが世孫サンと世孫嬪ふたりの服を作るため、採寸に来るハズだったが姿が見えない。裏庭にうずくまるギョンヒを見つけ、駆け寄るドギム。船遊びで、ボギョンの悪口を言う宮女たちと喧嘩になったと語るボギョン。その顔は目が腫れ、青あざがいくつもできていた。

(美人のギョンヒがサンの目に留まらないように、わざと宮女たちが喧嘩を売った可能性も)

なんとか採寸の場にギョンヒと入ることができたドギム。サンと嬪宮の会話もない重苦しい雰囲気を察する。採寸をされながら、ドギムに話しかけるサン。笄礼の試験の答えを問う。

サン
サン

私と女人と君子を同時に教える文を持ってきなさい

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

ドギム
ドギム

あえてお聞きになるなら『小学』と申しあげます

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

その理由として、宮中では男女にかかわらず「小学」から学ぶこと、経筵(キョンヨン)や書筵(ソヨン)での教材であること、若い内官や見習い宮女も見ることを挙げる。

ドギムの答えに静まり返る部屋。サンは世孫嬪の意見を求める。しかし、これまで自分の意見を述べたことのない彼女は「世孫様の意に従う」と答え、彼をガッカリさせる。

ギョンヒだけでなく、世孫嬪も下がらせたサン。ドギムにあれこれ問いかける。彼女の答えに満足するサン。

お前は私のものか?

お前は私のものになりたいのか?

お前は私のものだ

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

そして、反省文を書いてくるようドギムに命じる。

笄礼(ケレ)

美しい礼服と礼装用の髪型は、動きづらく重い鬘(びん)に順番が来るまで耐える時間。

※この頃には、加髢(カチェ)=大掛かりな付け毛・かつらは禁止されていた様子

見習いから正式な内人=宮女になるドギムたち。誰と部屋を使うのかという話になる。ボギョンは、洗踏房の同期と。ギョンヒは、なぜか世孫嬪付きの内人と同室に。(これは、世孫嬪が先日の採寸のときからドギムの存在が気になっているため。友人のギョンヒを通じて探りを入れようとしている)

ボギョン、ギョンヒ、ヨンヒの笄礼膳が届く。ひとり取り残されたドギムのもとへ、駆け込んでくる男たち。兄のシク、そして末弟のフビがお膳を運んできたのだった(驚かすため返事もせず、道を間違えて遅れて到着)

笄礼膳を捧げる最後の一人となったドギム。サンは他の尚宮たちを下がらせる。

サン
サン

酒は持ってきたか

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

胸もとから小瓶を取り出すドギム。山葡萄をつぶして作った”お酒もどき”を杯に注ぐ。まずいと言いながらも、最後まで飲み干すサン。他のお膳でも苦手な料理が出ていたが、全て食べたというサンにドギムは理由を尋ねる。(サンは少食で、好き嫌いがある)

サン
サン

娘を愛する親心で作った膳であり、民が貧しい懐から苦労して作った料理だ。太子の私がどうしてそれに文句を言うことができるだろう

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

その言葉に感動したドギムに、昨日の反省文を持ち出し、次の反省文を与えるサン。

ドラマでも、何かと理由をつけてドギムに反省文を書いてくるよう命じる場面がありましたね。

退室するときに、自覚のない相手への想いがサンにも、ドギムにもあることが描かれます。この先が気になる場面です。ドラマでは笄礼の時に勘違いしたサンの様子なども描かれ、恋心全開!なのですが。原作小説では「そもそも恋とは?」というサンなので、自覚がとぼしいようです。

前の話「東宮と見習い宮女」東宮と見習い宮女

次の話「王と宮女」若き王

ポスター・画像出典元:MBC番組公式サイト

「赤い袖先」上巻を一気読み

序章~運命へのカウントダウン

第一部 東宮と見習い宮女

一章 後ろ姿

二章 分かれ道

三章 鬼の殿閣

四章 東宮と見習い宮女

五章 お前のことを考えている

第二部 王と宮女

六章 若き王

七章 駆け引き

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