駆け引き「王と宮女」:「赤い袖先」上巻・第二部

原作小説

サンが正祖(チョンジョ)として即位してから1年。ドギムの弟フビの結婚から始まります。ドラマでは兄シクしか出てきませんが、原作小説には兄たちと弟が登場します。

夏の出来事

ドギムの弟フビが結婚することに。ドギムはことのほか喜び、お祝いを贈る。しかし、姉として婚礼の式へ参列することは叶わなかった。ガッカリするドギムを、ボギョンやギョンヒがそれぞれのやり方で慰めようとするものの、終いにはボギョンとギョンヒは口喧嘩に(心の底では互いを思っているのに、相変わらず)

サン(原作では、正祖ではなくサンと表現されています)は短気になり、老臣までも叱責するようになる。読書の習慣は続いており、正論を唱え、礼儀正しく、道徳的な生活に誰も非難しようがない。

そこで起きた「密通」寝殿近くでの出来事に、サンは激怒。捜索も始まり、大殿に仕える内人(宮女)・内官は気が気ではない。ドギムから見ると、情報通のウォレも、ヨンヒもなぜか不自然な様子。

王の湯あみ

ヨンヒから、湯殿の前にお湯を運ぶ代役をお願いされたドギム。湯あみは王の乳母の仕事で、ドギムのような若い宮女は浴室に近づくこともない…ハズだった。「熱い湯を足してくれ」とサンが声をかける。

ドギム
ドギム

わ…私は中に入ることが許されておりません…

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

サン
サン

阿之(乳母)がおらぬゆえ、お前に頼んでいるのではないか

ソン家のドギム、今すぐ入ってこれないのか

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

(サンは宮女の声で、控えているのがドギムだと分かって声をかけている)

入浴用の着衣とはいえ、お湯でサンのがっちりとした体が見えるためドギムはドギマギ。ここでも反省文を命じられそうになり

ドギム
ドギム

尊いお身体を拝見して感激しただけ

一度も王様を男として見たことがございません

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

と言い繕う。(その言葉にサンはやや不機嫌)乳母がなかなか戻ってこないため、扇子で湯気を払いながらドギムとサンの会話が続く。ドギムの生まれ年を聞いたり、ドギムを見つめたりするサン。

そばにいればからかいたくなり、いないとなんだか物足りない

実に気にかかる

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

(告白一歩手前のようなサンの言葉に、ドギムも危うさを感じる)

ドラマでは、2人は互いをもっと意識するドキドキの入浴場面です。

赤い顔で部屋に戻るドギム。ギョンヒに”危うさ”を打ち明ける…サンが、王様が自分に好意を寄せているのではないか、と。ギョンヒは冷静に「やっぱり」と受け止め、「王の気持ちがどの程度か」が大切だと言う。

ヨンヒの危うさ

密通の捜索で、部屋にも監察が入ったドギムやヨンヒ。しばらくしてヨンヒは、ドギムに化粧道具や手紙を見せる。それらは大殿に仕える別監(ピョルガム)から受け取ったものだった。時期的にも「手紙を燃やした方がいい」というドギムに、ヨンヒは口では「うん」と言いながら、心は別に向かっている様子。

ソン家とホン・ドンノ(グギョン)

兄シクが、前日の弟フビの婚礼の様子を伝えにくる(密通騒動の時期なので、ドギムはあらぬ誤解を受けぬよう見回りを気にする)ドギムが贈ったもの以上に盛大な式だったことを知り、訝しむ。なぜか都承旨(トスンジ)のホン・ドンノ(グギョン)が多大な支援していたのだった。

※この頃、ホン・ドンノ(グギョン)は都承旨・禁衛大将(グムィテジャン)という要職についている

何か裏がある、と危ぶむドギム。

異変

夜中にソ尚宮に起こされたドギム。大殿に賊が入ったことを知る。直ちに捜索令が出され、ドギムはウォレと組んで報漏閣(ポルガク)へと向かう。サンの様子が気にかかるドギム。自身の心に芽生えた”危うさ”に気づく。

何かの物音を捉えたドギム。確かめようとする彼女をウォレが止める。「本当に(忍び込んだ賊)がいたら、宮女2人だけではどうしようもない」とドギムの手を引く。草むらから飛び出した鳥に驚いたものの、ドギムは周辺を確かめようとする。が、ウォレが別の方へと引っ張っていく。

事件が起きたのは、鬼殿閣でサンが読書をしていた時のこと。彼に付いていた内官イ・ユンムクが軍卒たちの様子を見に行った隙を狙って、賊が忍び込んだのだった。この事件をきっかけに、サンは居所を慶熙宮(キョンヒグン)から昌徳宮(チャンドックン)に移す。

史実でも、即位の翌年1777年に正祖(チョンジョ)暗殺未遂事件が起き、慶熙宮から昌徳宮へ居所を移している

移動のため、別間の整理をするドギム。彼女の様子を見にきたサン(ドギムは、男女の機微には疎い)サンの無事を心配し、また、賊を捕らえることのできなかったことで泣いていたドギムの姿に赤くなるサン。言い訳のように、父・思悼(サド)世子が使っていた弓を探す。

サンは、思悼(サド)世子が学問より武芸達者であったことを語る。ドギムは、サンが弓の名人だという噂を口にする。そして彼女の父も弓が上手だったことを話す。

史実でも、イ・サン=正祖は弓の名手として知られている

逆賊

10日後、ふたたび大殿に賊が侵入(今回は、寝殿に行く前に捕まえらえる)国王の命を狙う逆賊に加担したのが、護衛のひとりカン・ヨンフィ。宮殿の事情に疎いドギムですら知る人物であり、ウォレの父親だった。さらにウォレ自身も、侵入の手助けをしたことが判明する。

ドラマでは、提調(チェジョ)尚宮チョ氏の後を継いだ「姪」のウォレが逆賊の一味として捕まります

取り調べが進み、謀反の背後にサン=正祖の異母弟(庶弟)恩全君(ウンジョングン)を王位につけようという企みがあったことも分かる。

史実でも、正祖暗殺未遂事件の背後に恩全君の名が出てきたことで、正祖は命を守ろうとした異母弟を処罰せざるを得ない立場に追い込まれる

禁衛大将であるホン・ドンノ(グギョン)が中心となり、謀反の取り調べを行う。その合間に、書庫の整理をするドギムのもとへやって来たドンノ。サンが誰かをそばに置くなら、ドンノ(グギョン)にとってもドギムがよかったのだが、と過去形で語る。

(ここで、妹の話をするドンノ)

ホン・ドンノ(グギョン)は、「サンの右腕である」という自負と「汚れ仕事に手を染めるのは自分」だと語る。と同時に、即位後のサンの振る舞いに、サンの関心が自分だけに向けられているのではないことへの危惧も口にする。

二人の腹の探り合いが続く。そこへサンがやって来る。「謀反の取り調べ」と繕うドンノ(グギョン)サンとドンノを前に、ウォレと見回りをした日のことを話すドギム。そこで、ウォレがドギムを守るため、茂みを詳しく探らせないように止めたことに気づく。

例外なく手続きを踏んで取り調べを行うように、というサンの言葉で、ドギムも禁軍へ。そこで、厳しい取り調べにより、髪は乱れ、首にも足首にも枷(かせ)を嵌められた女に会う。それは涼やかな目元だけは変わらないウォレだった。

ドギム
ドギム

なぜ私をかばってくれたんですか?

どうして私を助けたんですか?

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

ウォレ
ウォレ

あなたはなんてことない女の子なのに、不思議と嫌いじゃないわ

でも結局それが毒になるわよ

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

事件の鎮静化

2度の謀反の取り調べと多数の罪人の逮捕により、サンに敵対する勢力が一掃される。ホン・ドンノ(グギョン)は、兵権だけでなく、各官庁の報告を受ける宿衛隊長という朝廷全般の実権を握った。

政務を終えたサンは、亡き父・敬慕宮=思悼(サド)世子の弓を手にする。ドギムの姿を見つけると満足気な表情で、矢を放つ。

的を狙うサンの姿に、先だってギョンヒと交わした会話を思い出すドギム。謀反ですら、反対派を一掃するためにサンたちが仕掛けたことではなかったのではないか…とはいえ、異母弟の恩全君(ウンジョングン)に賜薬(サヤク)を下すことになったサンも痛手を負ったのだが。

史実でも、イ・サン=正祖は最後まで恩全君の命を助けようとした(死罪を避けようとした)と伝えられています。

サンがドンノ(グギョン)に、密通のことを問いただしている声に現実へと引き戻されるドギム。49射を命中させたサンは、矢を1つ残し、ドギムに声をかける。

サン
サン

私はお前に脆いようだ

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

ドギム
ドギム

適当な距離に退くことを考える、今はまだ…

「赤い袖先」上 カン・ミガン著

七章の終わりは、サンもドギムも互いの距離を計りかねるように、近づけば遠ざかり、退けば近づく…ふたりの心理的な駆け引きが描かれています。(中巻へと続く)

前の話:「王と宮女」若き王

次の話:「王と宮女」木から落ちた小さな青柿

ポスター・画像出典元:MBC番組公式サイト

「赤い袖先」上巻を一気読み

序章~運命へのカウントダウン

第一部 東宮と見習い宮女

一章 後ろ姿

二章 分かれ道

三章 鬼の殿閣

四章 東宮と見習い宮女

五章 お前のことを考えている

第二部 王と宮女

六章 若き王

七章 駆け引き

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